【英文契約書のポイント】使用される助動詞について

契約書作成サポート

こんにちは。行政書士の草深奈々です。

英文契約書で使用される用語には、古語や外来語等が多くあり、用語の意味が日常生活で用いられている意味と異なることも少なくありません。

本日は、英文契約書において使用される助動詞について簡単にご説明いたします。

1. shallについて

日常用語では、「~しなければならない」という場合には、「must」や「have to」等が用いられるのが通常ですが、英文契約書では「shall」が用いられるのが一般的です。

「shall」は、例えば以下のように使われます。

Both parties shall abide by all applicable laws and regulations.

両当事者は、適用される一切の法令及び規則を遵守しなければならない。

「shall」は、「be obliged to」や「be required to」に置き換えることもできます。

また、「shall」は、当事者間での取決めを定める場合にも用いられます。

例えば、This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of Japan without reference to principles of conflict of laws.(本契約は、法の抵触の原則によらず、日本法に準拠し、解釈されるものとする。)等と契約上規定されます。このような場合には、「~しなければならない。」と訳すのではなく「~ものとする。」等と訳すと自然な日本語になります。

2. shall notについて

英文契約書における「shall not」は、禁止や不許可を表し、「~してはならない」等という意味を持ちます。

「shall not」は、例えば以下のように使われます。

Licensee shall not sublicense or assign the rights granted under this Agreement without the prior written consent of Licensor.

ライセンシーは、ライセンサーの事前の書面による承諾を得ることなく、本契約に基づき許諾された権利を再許諾し又は譲渡してはならない。

なお、「shall not」は、「is prohibited from」や「be not allowed to」いう表現に置き換えることもできます。

3. mayについて

日常生活では、「may」といえば、「~かもしれない」という推量、可能性の意味を持ち、「~することができる」という場合には、「can」や「be able to」等が用いられるのが一般的です。

これに対し、英文契約書では、「can」や「be able to」の代わりに「may」が用いられるのが一般的です。

「may」は、例えば以下のように使われます。

Either party may terminate this Agreement upon thirty (30) days’ prior written notice to the other party.

いずれの当事者も、相手方当事者に対し30日前の事前の書面による通知を行うことにより、本契約を解除することができる。

「may」の代わりに「have the right to do」や「is entitled to do」を用いることもできます。

4. may notについて

英文契約書における「may not」は、「~できない」、「~する権利がない」という不許可の意味を持ちます。

「may not」は、例えば以下のように使われます。

Buyer may not claim damages for any damage caused by the termination of this Agreement pursuant to the preceding paragraph.

(買主は、前項に基づく本契約の解除に対して損害賠償を請求することができない。)

「may not」の代わりに、「is not permitted to 」といった表現を用いることもできます。

5. willについて

英文契約書においては、「will」も「shall」と同様に当事者の義務を表す表現として用いられます。

もっとも、「will」については、将来の行為や、意思を示す表現にすぎず、当事者の義務を定めたものではないと解釈される可能性も否定できないことや、「shall」よりも義務の程度が弱いと評価される可能性もありますので、ある行為をなすことを当事者の明確な義務として規定しておきたい場合には「shall」を用いるのが無難であると考えられます。

なお、このような点を踏まえ、相手方当事者の義務を定める場合には「shall」にしておき、自己の義務を定める場合には「will」にするという契約書も見受けられます。

以上、本日は英文契約書において用いられる助動詞について簡単にご説明いたしましたが、いかがでしたでしょうか。

繰り返しになりますが、英文契約書では、日常生活で用いられる表現とは異なる独特な用語が多く用いられますので、英文契約書の作成やレビューに際してはそのような独特な用語について正確に理解しておくことが必要です。

当事務所では、様々な種類の英文契約書の作成、リーガルチェック、和訳等を承っておりますので、お困りの際は是非お気軽にご相談ください。