
皆さん、こんにちは。行政書士の草深奈々です。
本日は、現在国会での審議が山場を迎えている離婚後共同親権を導入する民法改正法案について、簡単にご説明いたします。
1.親権とは
親権とは、子の利益のために子の監護、教育を行ったり、子の財産を管理したりする権限であり、親の義務でもあります。
親権は、さらに細かく分けると、①財産管理権(子の財産を管理する権利及び義務。法定代理権を含みます。)と、②身上監護権(親が子を監護して育てる権利及び義務。監護教育権、居所指定権、職業許可権が含まれます。)に分けられます。
父親と母親の婚姻中は、父親と母親の双方が親権者となり、共同して親権を行使することとされています(共同親権)。
2.離婚後共同親権とは
現行法の下では、両親の離婚後は、父親又は母親のどちらか一方を親権者として指定する単独親権のみが認められています。しかし、改正法案においては、単独親権に加えて離婚後も父親、母親の双方が親権者となる離婚後共同親権が認められます。
共同親権にするかどうかは、離婚の際に両親の話合いで決めるのが原則ですが、話合いがまとまらない場合には、家庭裁判所が共同親権を認めるかどうかを判断することとされています。
離婚後共同親権を導入する民法改正法案が今国会で改正法として成立すれば、2026年までに施行される予定です。
なお、改正法の施行日より前に離婚している場合には、改正法は適用されませんが、単独親権に不満のある親は、家庭裁判所に親権者変更の調停や審判を申し立てることにより、共同親権への変更を求めることができることとされています。
3.離婚後共同親権のメリット
①離婚の際の親権争いを回避しやすい
現行法の下では単独親権しか認められていないため、両親の双方が子の親権を持ちたいと主張する場合に、親権をめぐる紛争の長期化が懸念されますが、共同親権が導入されれば、一般論としては子の親権をめぐる争いを回避できる可能性が高まるといえます。
②離婚後も両親で協力して子育てをすることができる
離婚後共同親権が認められれば、離婚後も両親が協力して子の教育方針等を決定することが可能になるといえます。
③養育費の支払の遅延や不払が減少する可能性がある
例えば、父親が養育費の支払義務を負っているが、母親が子の親権を有しているといった場合、子と疎遠になった父親が養育費の支払を渋る可能性があります。しかし、離婚後共同親権が認められれば、子と別居している親も子の教育方針等の決定に関与できることなどから、一般論としては養育費の支払の遅延や不払が減少することが期待されています。
4.離婚後共同親権のデメリット
①両親の間で子の教育方針等をめぐる対立が生じるおそれがある
共同親権の場合、子の財産管理や身上監護の方針について、両親で協議して決定することになります。
子の身の回りの世話などの日常の行為に該当する場合や、急迫の事情が認められる場合には、片方の親のみで方針を決定できることとされていますが、具体的な線引きは必ずしも明確ではなく、両親の間で争いが生じ、子が板挟みになるリスクなどが懸念されています。
②ドメスティックバイオレンス(DV)やモラルハラスメント(モラハラ)が継続するおそれ
離婚後共同親権が認められた場合、元配偶者と離婚して別居を開始した後も、子の教育方針等について協議するために元配偶者と連絡を取り合う必要があります。そのため、相手からのDVやモラハラを受けていた場合、被害が継続するおそれがあります。
このような事態を避けるために、裁判所がDV等があると認定した場合には単独親権にしなければならないとされていますが、DVやモラハラは密室で行われることが多く、単独親権を勝ち取るための証拠の収集、確保が重要となってきます。
以上、離婚後共同親権について簡単に説明させていただきました。
私自身はこの場で個人的な意見を述べることは控えさせていただきますが、数多くの議論がなされているセンシティブなテーマであり、今後の動向を慎重に見守っていく必要があるといえます。
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