知っておきたい「遺贈寄付」の基礎知識 〜想いを社会に繋ぐ新しい相続のカタチ〜

遺言・相続・信託

相続の話題というと、家族への財産分与がまず思い浮かびますが、近年注目を集めているのが「遺贈寄付」という選択肢です。自分の財産の一部または全部を社会貢献に役立てる方法として、多くの方々が関心を持ち始めています。この記事では、遺贈寄付とは何か、その仕組みや手続き方法、メリットなどについて詳しく解説します。人生の最後に自分の想いを社会に残す方法を考えてみませんか?

遺贈寄付の定義と種類

遺贈寄付とは、自分が亡くなった後に財産の一部または全部を、特定の団体や法人などに寄付することです。家族や親族だけでなく、自分が支援したい社会的な活動や団体に財産を託すという選択肢です。

遺贈寄付には主に2つの方法があります。

  1. 遺言による遺贈:遺言書に寄付先と寄付内容を明記する方法
  2. 死因贈与契約:生前に寄付先と契約を結び、自分の死亡を条件に財産を贈与する方法

特に遺言による遺贈が一般的で、遺言書に「〇〇財団に1,000万円を寄付する」などと具体的に記載します。

遺贈寄付の対象となる団体

遺贈寄付の対象となる代表的な団体には以下のようなものがあります。

  • 公益法人(公益財団法人、公益社団法人)
  • NPO法人(特定非営利活動法人)
  • 学校法人、社会福祉法人
  • 地方自治体、国
  • 宗教法人
  • 医療法人

寄付先を選ぶ際は、自分の想いや価値観に合った活動をしている団体を選ぶことが大切です。教育支援、環境保全、医療研究、国際協力など、様々な分野の中から自分が応援したい活動を選びましょう。

税制面でのメリット

遺贈寄付には税制上の優遇措置があります。公益法人やNPO法人など一定の要件を満たす団体への寄付は、相続税の計算上、課税対象から除外されます。つまり、その部分については相続税がかからないのです。

例えば、相続財産が1億円あり、そのうち3,000万円を公益財団法人に寄付すると決めた場合、相続税の課税対象となるのは残りの7,000万円のみとなります。これにより、相続人の税負担が軽減されるというメリットがあります。

社会への貢献と自分の想いの実現

遺贈寄付の最大の意義は、自分の財産を社会貢献に役立てられることです。長年支援してきた活動や、自分が大切に思う社会課題の解決に、亡くなった後も貢献し続けることができます。

何より、自分の人生で築いた財産が、次世代や社会全体の幸福に繋がるという満足感を得られることは大きな魅力です。

家族関係への配慮

遺贈寄付は、相続をめぐる家族間のトラブルを軽減する効果も期待できます。あらかじめ寄付する部分を明確にしておくことで、残りの財産の分配について家族間の話し合いがスムーズになることもあります。

ただし、法定相続人には「遺留分」という最低限保障された相続分があるため、その権利を侵害しない範囲で計画する必要があります。専門家に相談しながら、家族の理解も得ながら進めることが望ましいでしょう。

寄付先団体との事前相談

遺贈寄付を計画する際は、寄付先となる団体に事前に相談することをおすすめします。多くの公益法人やNPO法人では、遺贈寄付の受け入れ窓口や相談体制を整えています。

中には「遺贈寄付プログラム」を設けている団体もあり、寄付者の意向を尊重した形での寄付が可能です。

国内の遺贈寄付事例

実際に日本国内でも、遺贈寄付の事例は増えています。

  • 子どもの教育支援に一生を捧げた元教師が、自宅と預金を教育支援団体に寄付。
  • 自然保護に関心が高かった方が、山林や別荘を環境保護団体に寄付。
  • 動物好きの方が、預金を動物愛護団体や日本盲導犬協会に寄付。

これらの寄付は、それぞれの団体の活動資金として大きな支えとなっています。遺贈寄付は、特別に裕福な方だけのものではなく、様々な規模で行われています。

まとめ

遺贈寄付は、自分の財産を社会に還元し、次世代に貢献する素晴らしい選択肢です。家族への相続だけでなく、自分が大切にしてきた価値観や想いを形にする方法として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

当事務所では、遺贈寄付を含めた相続のご相談を承っています。専門知識を活かし、皆様の想いに寄り添ったアドバイスをいたしますので、お気軽にご相談ください。