おひとりさまのための遺言書作成ガイド

遺言・相続・信託

「おひとりさま」という生き方を選ぶ方が増えています。独身の方、パートナーはいても法的な婚姻関係にない方など、様々な形の「おひとりさま」がいらっしゃいます。

そんなおひとりさまの方々から、こんなお声をよく聞きます。

「遺言って、家族がいる人が書くものでしょう?」 「私には子どもがいないから、遺言なんて必要ないんじゃない?」

これは大きな誤解です。

おひとりさまが亡くなった後、法定相続人として遠い親族が浮上することがあります。場合によっては、生前ほとんど交流のなかった親族に財産が渡ってしまうこともあるのです。

おひとりさまにとって「誰に、何を、どのように残すか」を自分で決められる遺言書の存在は非常に重要なのです。

おひとりさまが遺言書を残すメリット

1. 大切な人や団体に財産を託せる

おひとりさまの場合、法定相続では財産が思いもよらない遠い親族に渡ることがあります。遺言書があれば、お世話になった友人、応援したい団体や活動に財産を託すことができます。

例えば、長年参加していた地域のボランティア団体に財産を遺すことができます。

2. 遺産分割トラブルを未然に防げる

おひとりさまの場合、相続人が複数の親族に分散していることが多く、それぞれの関係性も薄いため、遺産分割でトラブルが発生しやすいのが現実です。

遺言書がないと、例えば兄弟姉妹が既に他界している場合、甥や姪など複数人が相続人となり、意見がまとまらず遺産分割が長期化・複雑化することがあります。遺言書があれば、こうしたトラブルを未然に防ぐことができます。

3. 大切なペットの将来を守れる

ペットは家族同然の存在です。遺言書によってペットのお世話を託す人を指定し、そのための資金を残すことができます。ペットには相続権はありませんので、万が一飼い主さんがいなくなってしまったら、路頭に迷うことになります。遺言書等で対策をしておくことが重要です。

4. 自分の希望に沿った葬儀や埋葬方法を指定できる

おひとりさまの場合、葬儀や埋葬方法についての希望が尊重されないケースがあります。遺言書に明記することで、自分の望む最期を迎えることができます。

「家族がいないからこそ、葬儀は自分の希望通りにしたい」という思いを持つ方は少なくありません。樹木葬や散骨など、最近は多様な選択肢があります。

5. 財産管理の手間を軽減できる

おひとりさまが認知症などで判断能力を失った場合、財産管理が大きな問題となります。遺言と併せて任意後見契約を結んでおくことで、将来の財産管理についても安心できます。

おひとりさまの遺言書作成のポイント

相続人を正確に把握する

おひとりさまの場合、相続人が誰になるのか把握しづらいことがあります。法定相続人を正確に把握することが第一歩です。

配偶者がいない場合、以下の順序で相続人が決まります。

  1. 子ども(第1順位)
  2. 親(第2順位)
  3. 兄弟姉妹(第3順位)

さらに上記の方々が既に他界している場合は、兄弟姉妹の子ども(甥や姪など)が代襲相続します。相続人が誰になるのか、確認することをお勧めします。

公正証書遺言の活用

遺言書を作成する際には、以下のような理由から、自筆証書遺言よりも公正証書遺言がお勧めです。

  • 法的な有効性が高い
  • 原本が公証役場で保管される
  • 形式不備による無効リスクが低い
  • 遺言の存在や内容が相続人に確実に伝わる

遺言執行者の指定を忘れずに

おひとりさまにとって特に重要なのが、遺言執行者の指定です。遺言書の内容を実現してくれる人を指定しておかないと、遺言があっても実行されない恐れがあります。

信頼できる友人や、弁護士・行政書士などの専門家を遺言執行者に指定することをお勧めします。

遺言書作成の具体的な手順

1. 自分の財産を把握する

まずは自分の財産をリストアップしましょう。

  • 不動産(土地・建物)
  • 預貯金・有価証券
  • 生命保険
  • 貴金属・骨董品
  • デジタル資産(暗号資産など)

また、負債がある場合はそれも把握することが重要です。

2. 財産の分配先を決める

おひとりさまの場合、以下のような分配先が考えられます。

  • 親しい友人・知人
  • お世話になった方々
  • 支援したい団体や活動(NPO、福祉団体など)
  • ペットのケア費用

「トラブルを避けるため、法定相続人にも一定の財産を残したい」と考える方もいます。全体のバランスを考えた分配が大切です。

3. 専門家に相談する

せっかく作成した遺言書が無効にならないためにも、遺言書作成は専門家のサポートを受けることをお勧めします。

遺言以外のおひとりさま対策

死後事務委任契約の検討

葬儀や身辺整理など、遺言書では指定できない事項については、死後事務委任契約の締結を検討しましょう。信頼できる方に、葬儀の内容やペットのケアなどを委任できます。

エンディングノートの作成

法的効力はありませんが、自分の希望や思いを記録しておくエンディングノートも有用です。財産目録や大切な人の連絡先、アカウント情報なども記録しておくと便利です。

まとめ

おひとりさまの方こそ、自分の意思を明確に残せる遺言書が重要です。

当事務所では、おひとりさまの方々の遺言書作成を丁寧にサポートしています。ぜひお気軽にご相談ください。あなたの「想い」をカタチにする、そのお手伝いをさせていただきます。