近年、従業員のメンタルヘルスや職場の多様性を尊重する観点から、ペット同伴出勤制度を導入する企業が増加傾向にあります。
しかしながら、その実現にあたっては、動物の福祉を尊重しつつ、法令遵守と職場環境への配慮を適切に両立させる必要があります。中でも重要なのが、オフィスビルの利用条件および契約内容です。
本記事では、ペット同伴出勤制度を検討されている企業様に向けて、オフィス物件選定時のポイントと法的留意点について解説いたします。
1.ビル管理規約と賃貸借契約の確認
ペット同伴出勤を導入するにあたり、まず確認すべきは、現在ご利用中のオフィスビルの管理規約および賃貸借契約書の内容です。
多くのビルでは、以下のような定めが設けられていることがあります。
- 「建物内への動物の持ち込み禁止」
- 「飼育・保管を目的とする利用不可」
- 「動物に関する損害が発生した場合の責任条項」等
このような規定が存在する場合、企業が独自の判断でペット同伴出勤を開始することは、契約違反とみなされる可能性があります。
契約に反する行為があった場合、賃貸人より原状回復請求や契約解除を受けるおそれもあるため、導入前に管理会社・オーナーへの確認と、必要に応じた合意形成が不可欠です。
2.ペット同伴可のオフィスを検討する際のポイント
ペット同伴を前提とした制度導入を本格的に検討されている企業様は、初めから「ペット可」の物件に入居するという選択も有効です。
近年は、以下のような条件付きでペット同伴を許容するオフィスビルも増えてきました。
| 主な条件 | 内容 |
|---|---|
| 対象動物の限定 | 小型犬・猫に限定される場合が多い |
| 使用範囲の制限 | 特定のフロア・区画のみ許可されるケース |
| 同伴時のルール | ケージの使用、マナーパンツ着用などを義務化 |
| 共用部での対応 | 専用エレベーターの利用・移動経路の指定など |
このような施設を選定する際には、以下の点を重点的にご確認ください。
- 管理規約におけるペット同伴の許容範囲
- 他テナント企業との共用スペースにおける取り扱い
- 建物全体としての動物福祉・安全対策の整備状況
- 周辺における動物病院やトリミングサロンの有無
3.社内制度との整合性を図る
オフィスの環境が整っていても、社内規定や運用ルールが曖昧であれば、制度としての実効性を欠く恐れがあります。
具体的には、以下のような整備が求められます。
- 同伴可能な動物の範囲(例:ワクチン接種済・健康体であること等)
- ペットを連れてこられる日・時間帯のルール
- 社員同士のトラブル回避に向けたゾーニングや苦情対応体制
- ペットによる事故・損害発生時の責任の所在(社内規程上の明示)
また、法令面では「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)」に基づき、適正な飼養・管理がなされているかが問われる可能性もあるため、制度設計にあたっては、法律との整合性を意識した対応が求められます。
4.行政書士がサポートできること
行政書士は、企業における制度設計や社内ルールの明文化、契約書のリーガルチェック等において、実務的かつ法的な視点からサポートを提供することが可能です。
具体的な支援内容としては以下となります。
- ペット同伴出勤制度の導入に伴う社内規程の作成
- 賃貸契約書・管理規約の確認とリスク評価
- ペット同伴時の誓約書・同意書の雛形作成
- 社外向けQ&A資料や説明文書の作成支援
まとめ
ペット同伴出勤制度の導入は、社員満足度や企業文化の向上にもつながる一方で、建物の管理規約、契約条件、社内体制の整備など、多角的な視点からの準備が求められます。
当事務所では、動物福祉と企業法務の両立を目指す取り組みを支援しております。
ご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。


