令和6年(2024年)5月17日に成立した改正民法により、離婚後の財産分与に関する制度が大きく見直されました。これまで「分かりにくい」「不公平になりやすい」とされていた点が改善され、より公平で実効的な制度へと進化しています。
以下では、今回の主な改正点を分かりやすく解説します。
1.財産分与の請求期間が「5年」に延長
これまで、離婚後に財産分与を請求できるのは「2年以内」とされており、準備や交渉の時間が足りないケースも多く見られました。
今回の改正で、この請求期間が「5年以内」に延長されました。これにより、離婚後の生活が落ち着いた段階で改めて請求を検討することができるようになり、当事者の権利がより手厚く保護されるようになります。
2.財産分与の「判断基準」がより明確に
これまでの法律では、どのような点を考慮して財産を分けるかについて明確な基準がなく、実務では裁判官の判断に委ねられてきました。
今回の改正では、以下のような具体的な考慮要素が明文化されました。
| 考慮要素 | 内容 |
| ① 婚姻中に築いた財産の額 | 夫婦が一緒に形成・維持した財産の合計 |
| ② 各当事者の寄与の程度 | 財産を増やしたり維持したりするための貢献 |
| ③ 婚姻期間 | 結婚生活がどれくらい続いたか |
| ④ 生活水準 | 婚姻中の経済的な暮らしぶり |
| ⑤ 協力・扶助の内容 | 家事・育児・介護などの家庭内での協力 |
| ⑥ 離婚後の生活状況 | 年齢・健康・職業・収入など |
| ⑦ その他個別事情 | 上記以外の個別の事情 |
これにより、判断がより透明で予測可能なものとなり、公平な分与が実現しやすくなります。
3.「寄与は原則平等」――2分の1ルールが明文化
これまでも実務では、夫婦の財産は「基本的に2分の1ずつ分ける」とする運用が一般的でしたが、明文化はされていませんでした。
改正法では、「財産の取得や維持への寄与が明らかに異ならない限り、原則として等しい」と明記されました。
つまり、専業主婦(主夫)や収入の少ない配偶者も、家事や育児などの貢献が適切に評価され、平等な取り分が保障されるということです。
4.相手方の財産について「情報開示」が義務化
これまで、相手方が財産を隠しても、それを突き止める手段が限られていました。その結果、実態と異なる分与になることも。
今回の改正で、家庭裁判所が相手方に財産の情報開示を命じることができる制度が新たに設けられました。
開示の対象となる主な情報
- 預貯金の残高
- 不動産の所有状況
- 有価証券(株など)の保有状況
- 退職金の見込額
- その他の資産全般
ペナルティも設定
開示命令に違反したり、虚偽の情報を提出したりした場合には、10万円以下の過料が科される可能性もあります。
この制度により、財産隠しを防ぎ、より公平な財産分与が可能になります。
5.施行時期と注意点
この改正法は、2024年5月24日に公布され、公布日から2年以内に施行される予定です(具体的な日付は政令で定められます)。
なお、施行前に離婚したケースには、旧法(請求期間2年など)が適用されますので注意が必要です。


